楽しい隠遁 山水に遊ぶ―雪舟、竹田、そして鉄斎:泉屋博古館

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日本の文人たちが憧れた隠遁生活。それは中国の山水にあり、その先には桃源郷があったのでしょうか。現実は、書画や文具に囲まれ、煎茶を楽しみ酒を愛する……、そんな生活だったのかもしれません。軸装の絵画を中心に、煎茶道具や文房諸道具も展示されていました。

展示は4つの柱で構成されています。

“隠遁の思想と隠者たち”では、15世紀、雪舟「漁樵問答図」に始まります。三国志をテーマに狩野探淵が描いた、19世紀の「草盧三顧図」から、大正期の富岡鉄斎。日本画の近代化につとめた橋本雅邦「許由図」と、大阪南画の姫島竹外「竹林七賢図」という明治30年代の作品がステキでした。

“桃源郷の風景”では、天保期の岡田半江、貫名海屋。京都の南画家・中西耕石の「桃花流水図」に、姫島竹外「竹渓暁霽図」、高村光雲に師事した山崎朝雲の木彫「竹林の山濤」など。田能村竹田とその弟子・田能村直入の山水図もあり、直入は明治初期煎茶ブームの火付け役でもあったとか。

“山水を楽しむ”では、室町期、狩野元信門下の実力者・長吉の「観瀑図」、高橋由一に西洋画を習った森琴石の「青緑山水図」が美しく、幕末京都の文人画家・中林竹洞の「赤壁図」には幾何学的な表現のおもしろさがあります。池田桂仙が描いた「桐木地網代張器局」は茶道具を収める箱、憧れの一品です。なるほど中国絵画に登場する太湖石の実物もありました。

“文雅の楽しみ”では、室町期の岳翁「山水図」や、浦上春琴「春景山水図」。森琴石の「山水画帖」に、姫島竹外の「山水草花帖」。十時梅崖の写した「十便十宜帖」など。住友春翠と交流のあった村田香谷の「文房花果図巻」には、隠遁生活に憧れる文人の部屋を彩るモチーフが満載。どの品も、住友家にあったものなのでしょう。岸田劉生の「塘画帖」は昭和3年のもの。

おもしろいのは小田海僊「酔客図巻」。酔いとともに着物を脱ぎ、酒甕を倒して頭を突っ込み、ついには立てなるほどの酩酊ぶりの文人たち。隠遁生活にはこういう一面もあったのかもしれません。金木犀の咲く庭に月の女神が降下して一巻の終わり。しゃれてます。
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梅の季節は終わり、桜が待ち遠しくなりました。枝の先に大文字がちょっと見えています。
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by nijinotami | 2017-03-10 17:33 | 美術館・博物館 | Comments(0)

美術館や博物館、コンサートや落語など、行きたいところはいっぱいあります。月に1度ぐらいは女装して出かけてます。


by 岡村ゆかり
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