京博すいぞくかん:京都国立博物館特集展示
2017年 07月 30日
京博初の子ども向け展示は、平成知新館2階を使った京都水族館連携企画〈京博すいぞくかん-どんなおさかないるのかな?〉。
第1章は、おさかな大集合。今尾景年「遊鯉図」、雪舟の弟子・等本の「藻魚図」、鮮やかな紅い花と簡略化が楽しい2匹のカワヒラを描いた斉白石「紅蓮遊魚図」、狩野探幽「鳥獣戯画等絵巻」、鎌倉期の「篆隷文体」。おもしろいけどムズカシイかも。でも、ひとつでも印象に残る作品に出会えたらよいですね。ワタシもそんなふうに続きの展示を見てまわることにしました。
さまざまな作品に取り上げられてきた貝合(合貝と貝桶)は実物を展示。海のものをあしらった帷子も鮮やかですが、カゴ人足たちのユニホーム「紺木綿地蛸文様陸尺看板」がカッコよくて。
大阪・久米田寺の「星曼荼羅図」は魚座や天秤座など12の星座が描かれたインドの星占いの世界。「彦火々出見尊絵巻」は、4巻のうち3巻を展示。龍宮帰りの山幸彦が、兄・海幸彦を玉の術で溺れさせる場面がシュールです。長い箸と包丁さばきをみせる厨房で、赤子に乳をふくませながら働く女も描く「酒飯論絵巻」は、別の場面も見たくなります。円山応挙「龍門図」は、さすがの名品。
狩野山雪「馬師皇図」など龍を描いた作品も多くあります。山口素絢「四条河原納涼図屏風」は1807年の作品。中洲に飴や西瓜を売る夜店や縁台が賑わう川幅が広い鴨川。芝居小屋の灯りとともに人魚の見世物小屋が描かれています。龍より人魚のほうが水族館っぽいかも。
書跡室は、10月からの国宝展には出ない「手鑑・藻塩草」や高信筆「明恵上人歌集」など、国宝7件を展示するプレ国宝展。漆工室は文房具。なにより、子どもの衣装を特集した染織室が良かったです。子どもサイズ(といってもいろいろですが)ならではの魅力がありました。華美な刺繍も可愛いけれど、夏に黒の涼しさ「濃鼠絽地雲取鞍馬天狗文様熨斗目振袖」「濃鼠麻地帆掛船取り田子浦文様熨斗目帷子」の2点には魅せられました。