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京のエンターティナー・長沢芦雪展:愛知県美術館

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昨年秋の和歌山県立博物館「盧雪溌剌−草堂寺と紀南の至宝」につづく長沢芦雪展。和歌山では白浜町・草堂寺に残した作品が中心でしたが、今回は串本町・無量寺を中心に、とりわけ「龍図襖」「虎図襖」が向かい合い、その裏側に描かれた「薔薇に鶏・猫図襖」「唐子遊図襖」をそのまま見せる贅沢な空間配置になっています。大きな虎は水の中の魚から見た猫だったというのも、この展示にしてよくわかります。ワタシは、芦雪の多様性が垣間見られる「唐子遊図襖」が好き。
初期の作品では、八坂社を中心に遠景に清水寺を配した「東山名所図屏風」は1778年夏、圓山家で描かれたもの。応挙の作品と並べて展示されている「楚蓮香図」や「牡丹孔雀図」も、模倣ではない個性が表われてます。ところで、芦雪の代名詞のような「子犬」の絵が人気を得たのも応挙からなんですね。「元日図」には、応挙の大きさを感じました。
「岩上猿・唐子遊図屏風」右双、赤と緑の葉が絡まる岩が、草堂寺の「群猿図屏風」では墨一色になり、猿の凛々しい姿が強調されます。金地に着色の「巌上母猿図」になると、孤高の哀しみさえ漂います。大きさを強調した牛や象、鯨などの奇想の表現。「瀑布登鯉図」「富士越鶴図」など、自在さが魅力ですね。指に墨を付けたり、油絵のような下地にのせて描いた作品もありました。「絵変わり図屏風」「なめくじ図」のユーモア。「大原女図」「幽魂の図」のような色っぽい絵。「月下水辺薮」「雨中釣燈籠図」など、夜の幽玄な表現は発見でした。
プライスコレクションの「白象黒牛図屏風」や「瀧に鶴亀図屏風」、厳島神社の「関羽図」「山姥図」など、迫力のある作品でエンディング。芦雪(1754-1799)の絵って、ほんとに楽しいんですね。ところで、心を穏やかにさせてくれる「唐子睡眠図」、なんだか芦鳳描く「長沢芦雪像」に似てる気がするんですが……。

by nijinotami | 2017-10-27 17:23 | 美術館・博物館 | Comments(0)

美術館や博物館、コンサートや落語など、行きたいところはいっぱいあります。月に1度ぐらいは女装して出かけてます。


by 岡村ゆかり