16世紀から17世紀、フランドル地方で活躍したブリューゲル一族。これまでも、〈父〉とか〈子〉とか表記されているのは見ていましたが、その全貌がわかりました。
ピーテル・ブリューゲル1世〈父〉は、ボス2世とも称された農民画家。フランス・ハイス彫版のエッチング「武装帆船」が良かった。
その長男〈子〉ピーテル・ブリューゲル2世は、地獄のブリューゲルとも。中産階級を相手に作品を制作したそうです。
「バグパイプ奏者と旅人のいる村」
春の収穫祭でもある「精霊降誕祭の花嫁」は、花嫁花婿に扮した子どもたちがお祝いのご馳走をもらうために列を作り練り歩く場面。子どもたちの自由な姿がなんとも言えません(写真は部分)。
〈次男〉ヤン・ブリューゲル1世は、花のブリューゲル。「水浴をする人たちのいる川の風景」「アーチ状の橋のある海沿いの町(共作)」など、人物のいる風景画の表現が魅力的。
その子、ヤン・ブリューゲル2世〈孫〉は、多彩な作品で目を驚かせます。「冬の市場への道」「旅行者のいる山岳風景」の風車や謎の塔。「聴覚の寓意」の楽器工房。「ガラスの花瓶に入った花束」のカタツムリが可愛い。
ヤン2世の子〈ひ孫〉ヤン・ファン・ケッセル1世が大理石に油彩で描いた「蝶・カブトムシ・コウモリの習作」1659年。
ブリューゲル一族以外のフランドル絵画も多数紹介されていました。
ワタシが好きなのは、ヤン・マンデインの地獄絵?「キリストの冥府への降下」。そして、マールテン・ファン・クレーフェの「嬰児虐殺を伴う冬の風景」や「強盗に襲われる農民の夫婦」。
6点連作の「農民の婚礼」の祝儀の贈呈の場面に乳児の放尿を描き込むクレーフェ。とても興味深いです。