屏風が映し出す縁:千總ギャラリー
2017年 08月 24日
“屏風祭”とも言われる祇園祭に合わせて、7月1日から始まった展示。“屏風が映し出す縁”とは、京都の絵師・画家たちと彼らを支えた千總の人脈が重なるところ。出口付近に掲示されていた、円山応挙から神坂雪佳まで、絵師たちの住まいや拠点を地図に落としたパネルは、とても興味深いものでした。
《1、京と町絵師たち》
長沢蘆雪・花鳥図屏風(6曲1双)は、春から夏の花と雀や燕を描く中に、次の動きを伺うようなイタチを登場させています。松村景文・花鳥図押絵貼屏風は、京の老舗を飾るのに相応しい作品。やわらかなイノシシの存在感は森祖仙・猪図屏風。吉村孝敬・水辺群鶴屏風(6曲1双)が描く丹頂鶴と真鶴の淡い佇まい。ここまでが江戸期です。
《2、明治の京都画壇と千總》
岸竹堂・大津唐崎図屏風(8曲1双)は、1876年のフィラデルフィア万国博覧会に出品されたもの。雪化粧した大津の町に牛車や人影、唐崎の松越しに見える琵琶湖と遠景。近代の気配を感じる作品です。
千總ゆかりの日本画家たちの下絵による型友禅。岸竹堂の龍(1879)をはじめ、今尾景年の烏と白鷺。梅山景山、望月玉泉、幸野楳嶺、藤井玉洲、久保田米僊の明治20年代の図案が展示されています。千總12代の竹陰が60歳の正月に描いた富士に松図屏風(1915)が展示を締めくくります。
会期末の五日間、円山応挙の絶筆・保津川図屏風(重文)が出るようです。行ってみようかな。